Web担当とは、企画・制作・運用という3つの役割、またはその全てを求められます。
それぞれの概要をまとめました。10分程度で読めると思います。
企画
企画の仕事は、調査・企画・提案という順番で進めます。
コンサル会社や広告代理店の営業やWebサイト制作会社のディレクター(プランナー、アカウントと呼ぶ場合もあります)等の職種が行う業務です。社内で行う場合は、マーケティング担当者、または広報・宣伝部が行うことが多いのではないでしょうか。
調査
調査の段階で実施するのは、
- 商品・サービスの客観的な情報(ポジショニングとUSPの確認)を集める
- 主要な顧客(ターゲット)を設定する
- 適切なWebメディアを選ぶ
以上の3点です。
1.商品・サービスの客観的な情報(ポジショニングとUSPの確認)を集める
蒸気機関車やT型フォードのように、今までの世の中になかった商品やサービスならば必要ありませんが、世にある商品・サービスを後発で提供する場合は、ユーザーから見て自社の商品・サービスがどのように見えるのか(ポジショニング)、またユーザーが自社の商品・サービスを選んでくれる理由(USP)をしっかりと確認しておく必要があります。
調査に関連する記事
調査はどのようにすればいい?調査に役立つサイト7選
ポジショニング
「競合の中で自社の商品・サービスがどういった状態なのか。」を表したものです。
縦軸と横軸は自由に取って良いです。
※ターゲットが同様である場合は、競合になります。ターゲットが異なる場合は、同業でも競合にはなりません。
USP
Unique Selling Pointの略で、直訳すると「独自の売りポイント」、「競合に対して自社の商品・サービスが持つ強み」となります。先程のポジショニングマップを使って、どのように打ち出せば良いかを決めていきます。
2.主要な顧客(ターゲット)を設定する
調査結果を元に自社の商品・サービスの素晴らしい部分(USP)を必要としてユーザーを細かく設定していきましょう。よりリアルに想像するための方法としてはペルソナ、カスタマージャーニーマップといったものがあります。(説明すると長くなるので別記事に掲載しています。)
3.適切なWebメディアを選ぶ
Webサイトが良いのか、ランディングページが良いのか、スマートフォンに対応するのか…SNSについても、若年層ではTwitterやLine、それ以上であればFacebookなど、ターゲットに応じたWebメディアを選びましょう。競合の保有しているメディアを保有した上で、手薄な部分を攻めるのが良いと思いますが、更新できない場合は逆効果になりますので注意が必要です。
企画倒れは悪くない?
(真面目にやっている前提ですが、)調査の結果、採算が合わないため企画倒れにしているのですから、企画倒れは無駄遣いを減らしているのかもしれません。精度の高い企画は、調査せずとも今までの経験から実現可能性の高いものを選び取った結果だと思います。
戦略決定に関連する記事
SWOT分析とは?基礎知識と実践するためのコツ
AIDMAとAISAS(アイドマとアイサス)とは?意味と考え方
これでターゲットが決まり、相性のいいWebメディアも決まりました。次は制作に入っていきましょう。
制作
Webサイトやランディングページを作るには、3つの方法があります。
- 制作会社へ発注する
- Webサービスを使って製作する
- 自社で製作する
それぞれメリットとデメリットがありますが、自社の人的・金銭的資源と相談しながら選んでみるのが良いでしょう。また、SNSについては自社でアカウントを持てますので後述します。
1.制作会社へ発注する
製作会社へ発注する場合は、企画を元に相談してみましょう。メリットとしては、完全オリジナルのwebサイトが持てること、頑張った分だけ自社の資産として積み上がること、(契約にもよりますが)買い切りでランニングコストがかからないこと。デメリットとしては、その他の方法に比べて費用と期間がかかることです。
Webサイトっていくら?よく分からないWebサイトの料金と製作期間
発注する前に知っておきたい!Webサイト制作の流れとやるべきこと
Webサイト制作会社はどうやって選べばいい?チェックしたい5つのポイント
2.Webサービスを使って製作する
Webサイトをブラウザ上で製作できるサービスもあります。メリットとしては価格を安く抑えることができる、期間が短いこと。デメリットとしてはデザインが決まっていることが多いため、柔軟性が低いこと、ドメインが自社のものにならないこと(マンションの店子になるイメージです)が挙げられます。
3.自社で製作する
自社で製作する場合は設計、HTML(PHP)、CSS、画像加工、システムの知識などが必要になります。メリットとしては、オリジナルのWebサイトが持てること、費用が安く抑えられること、更新が自社でできること。デメリットとしては、期間がかかること、満足のいく内容にならないことが多いことが挙げられます。製作会社に勤めていたデザイナーやディレクターなどを雇った場合はこの限りではありません。
運用
Webサイトで成果を出すためには、自社のキーワードで検索した際に上位表示される必要があります。上位表示されるための手法をSEO(Search Engine Optimization)検索エンジン最適化と呼びますが、SEOには
- キーワード選定
- 更新
- 分析・改善
が大切です。
日本の検索エンジンはYahoo!JapanもGoogleが使用されているため、Googleがどういった基準で判断しているのかが重要になります。
Googleの品質に対するガイドライン
基本方針
・検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。
・ユーザーをだますようなことをしない。
・検索エンジンでの掲載位置を上げるための不正行為をしない。ランクを競っているサイトや Google 社員に対して自分が行った対策を説明するときに、やましい点がないかどうかが判断の目安です。その他にも、ユーザーにとって役立つかどうか、検索エンジンがなくても同じことをするかどうか、などのポイントを確認してみてください。
・どうすれば自分のウェブサイトが独自性や、価値、魅力のあるサイトといえるようになるかを考えてみる。同分野の他のサイトとの差別化を図ります。
Googleは広告で収益を出しています。検索結果がユーザーの役に立たない内容であれば、Googleを使わなくなるため、Googleはユーザーの役に立つページを上位表示するようにしています。
1.キーワード選定
キーワードは検索数に準じてビッグワード、ミドルワード、スモールワードと呼ばれます。ビッグワードは大企業が強いため、中小企業の方々にはおすすめできません。おすすめはミドルワード+地域やミドルワード+悩みなどの複合ワード。または、スモールワードを複数散りばめたコンテンツを多数保有するロングテールという手法です。
2.更新
自社の商品・サービスに関連するコンテンツを増やすと、専門的なサイトとしてGoogleに認識されるため、効果が高いことが多いです。ブログなどが代表的ですが、ネタに困らないように季節感を出したり、タイムリーな話題についても触れるのが良いと思います。
ブログは何文字くらいがいいの?更新頻度はどのくらい?
ブログのネタは何にすればいいの?ネタを作るコツ
3.分析・改善
分析から改善までの流れは5つの工程を繰り返すことになります。
- 内容を分析
- 問題点の原因がこうではないかという仮説を立てる
- 仮説を改善するための方法を考える(改善案)
- 改善案をテスト
- 効果があったか検証
インターネットの世界なので、実感し難いかもしれませんが実際の世界で成果を出すやり方と変わりません。違う点と言えば、組織を変化させる必要がない分、Webサイトは変化させることが容易であることくらいです。
1.内容を分析
Googleアナリティクスという無料のツールが使えます。他のツールもありますが、見方を覚えればこれで十分です。Googleサーチコンソールも同時に登録しておきましょう。
Googleアナリティクスって何ができるの?登録方法と使い方
Googleサーチコンソールって何ができるの?登録方法と使い方
2.問題点の原因がこうではないかという仮説を立てる
数字を元に問題点を見つけて、その上で問題となっているページを実際に見て原因を探ります。
3.仮説を改善するための方法を考える(改善案)
問題点が特定されたら、それを改善します。
問題点でよくあるものとしては、
- 文字が読み難い(文字サイズが小さい、コントラストが小さい)
- リンクが押しにくい(ボタンが小さい、ボタンの間が狭い、クリックできると思えない)
- 目的のページにたどり着けず迷子になる(回遊性が低い)
- スマートフォンに対応されていないので読みにくい(アクセス比率が20%を超えたら対応した方がいいです)
などの「使いにくい」と感じる部分です。
一部の変更で改善できるならば自社で実施するのが望ましいですが、問題点がたくさんある場合やどの部分か分からない場合はプロに頼むのが良いでしょう。
4.改善案をテスト
改善案を実施して、一定期間が経過するまたは一定のアクセス数を得るまで待ちます。
目安としては3カ月または2000アクセスくらいで良いと思います。
5.効果があったか検証
問題となっていた数字が改善されたかどうかを検証します。数字が改善されない場合は、仮説が間違っている可能性、改善案が間違っている可能性があるため、再度分析し直します。この流れをPDCAサイクル(Plan Do Check Act)と呼びます。
まとめ
いかがだったでしょうか。WebサイトやSNSは、開設や公開がゴールではなく、運用の始まりです。スムーズな運用のためには、目標設定や過程の評価をいつ、誰が、どうやって、どのような基準で行うのか、などの事前準備が欠かせません。しっかり運用してブランディングする、売上をアップする、問い合わせを獲得するなどの成果を出していきましょう。